ビキニ・ハクデ・ブー


 なんとなく野田樹潤について書いてみる。
 アイキャッチの通り「シンデレラガール」のつもりでいい感じにしたいんだろうけど、明らかに魔法が間違っているよねというそんな話である。

長くなるので目次

ちょっと経歴盛りすぎじゃないですか?

 野田樹潤の戦績について公式サイトにまとめられたのは以下の通りである。

2006年生まれ。
4歳でKIDSカートデビューウィン。5歳で30cc/40ccダブルチャンピオン、9歳でフォーミュラ4の最年少デビュー。(@岡山国際)
11歳、国際クラスFIA-F4マシンで「U-17大会」出場。2018年からF3に挑戦。2020年はデンマークF4参戦。2021年はアメリカF4 US→デンマークF4。2022年は「Wシリーズ」を中心に活動する。
目標は「日本人初の女性F1/フォーミュラEのドライバーになって、チャンピオンになること。
父は元F1レーサーの野田英樹
https://juju10.com/about/ より引用)

 「11歳、国際クラスFIA-F4マシンで「U-17大会」出場。2018年からF3に挑戦。」に違和感を感じたのでそこに触れていきたい。
 ゴーカートでそこそこいい結果を出したのち、岡山国際サーキットの地方選手権である「FORMURA UNDER17 & SENIOR」に参戦する。この選手権自体がほとんど名前を聞かない選手権であり、現在は恐らく開催されていない選手権である。情報があやふやなのは「FORMURA UNDER17 & SENIOR」で検索してもほとんど情報がなく野田樹潤が勝った話しか出てこないことと若手の有力なドライバーが多数参戦しているような雰囲気はないためである。このことから事実上の「NODAレーシングアカデミー」による野田樹潤のためのレースという印象を受ける*1
 昨年に「F2000 Italian Formula Trophy」でチャンピオンになってF3女性チャンピオンという記事が色々出たときに方々から書き方に問題があると批判があったが、それと似たような問題をこのころから抱えていたように思う。「F2000 Italian Formula Trophy」もそもそも現行のF3規格ではなく旧F3規格であること、また決してFIA F3のようなメジャーな国際規格の選手権ではない。それを日本人初の国際F3規格のレースの女性チャンピオンと呼称するのは嘘ではないが流石に盛りすぎだという印象を受けてしまう。
 彼女のキャリアの表記での問題は「選手権としてはちょっと知っている人がみれば微妙な選手権で勝ち、全く知らない人に向かってさも格式ある選手権で勝ったかのように喧伝すること」である。もちろんいずれも嘘ではないが、蓋を開けてみると結果を残したのはメジャーな選手権ではないものばかりである。

そもそも「天才ドライバー」とは言い難いキャリア

 さて、裏道を行っても別にドライバーとして速ければ誰も文句は言わない。最大の問題はドライバーとしてはそんなに速くないのである。
 「FORMURA UNDER17 & SENIOR」でFIA F4とF3に乗り3シーズン戦ったのち、デンマークF4選手権を2シーズン走る。デンマークF4を選んだのはライセンス取得の年齢の都合によるものらしいので、そこについてはどうこういうつもりはない。流石に地方選手権で3年ほどF3のマシンを乗り回していた分、他の選手よりも少しだけアドバンテージがあったようでポールポジションを取るなどの速さを見せたものの、色々ゴタゴタしたこともあり、あまり目ぼしい結果を残すことはできなかった。
 2022年にはWシリーズに参戦し、微妙な成績で終了する。現行のFIA F4よりもちょっと早く、FIA F3よりもちょっと遅い車を使ったレースであるため、車が著しく変わったということはないと思う。この選手権の特徴は「参戦にあたり持ち込みは不要」であることで、前年に悩まされた体制回りのゴタゴタから解放されるという大きなメリットがあったはずである。しかし、そんなミドルフォーミュラー6年生の結果はパッとしないまま終わる。いくらシーズン途中で爆散したとはいえ全10戦中7戦戦って最高成績9位でランキング14位という有様である。
 Wシリーズが爆散した翌2023年に参戦した「F2000 Italian Formula Trophy」についてもミドルフォーミュラ7シーズン目で、かつ有力な相手がいない状態である。さすがに楽に勝てると思いきや実際は最終戦まで逆転されてもおかしくない状態だったらしい*2
 そんなこんなで迎えたスーパーフォーミュラのテストの結果はいずれも散々な結果であったことは多くの人の記憶に新しいことである。ミドルフォーミュラで通算7年戦ったとは思えない遅さに真顔になった人も多いのではなかろうか? 古くはキミ・ライコネンジェンソン・バトンマックス・フェルスタッペンのようにミドルフォーミュラをほとんど経験せずにステップアップしたものはいる。そんなスペシャルなドライバーには及ばないにしてもミドルフォーミュラ7年も戦ったドライバーにしてはやっぱり遅いと評価せざる得ないのが実情である。

誰が本当の「ビビディ・バビディ・ブー」の魔法をかけるのか?

 残念ながら現状の野田樹潤は若くて可愛い女の子であること以外のとりえのない遅いドライバー以外の評価ができない。ミドルフォーミュラ7年も戦ったとはいえ、ドライバーとしてちゃんと揉まれた中で戦ったとは言い難い以上、SFLへのステップダウンも視野に入れた再育成が必要なのではなかろうか?
 また、周囲の環境も現状はあまりよろしくない。元々若干盛りすぎる傾向がある中で、公式もそれに乗っかって「スーパーフォーミュラ初の女性ドライバー*3」と祭り上げてみたりと周囲の大人の盛り過ぎ感が本人へのネガティブな印象をより加速させているように思う。
 とはいえまだ18歳である。もう1回ぐらいはやり直すチャンスはあるはずである。彼女を本当にシンデレラにする魔法使いは現れるのか、そして彼女は本当にシンデレラガールにもう一度返り咲くことができるのかについてはもう1〜2シーズンぐらいは様子を見てみてもいい気もする。
 いずれにせよ現状維持ではただの遅いドライバーで終わるとは思うので、レーシングドライバーとして改めて真っ当なテコ入れが必要なのではなかろうかと思うのは私だけではないはずである。

*1:もっとも若手の有力株で【育成】に乗れそうあれば無理にこういうレースに出る必要がないのは言うまでもない

*2:Juju(野田樹潤) F2000フォーミュラトロフィーで女性初のチャンピオン獲得…元F1ドライバー野田英樹の娘 【 F1-Gate .com 】

*3:https://twitter.com/SUPER_FORMULA/status/1759729583811691006より(公式削除済み)